RESEARCH

身体・行為の視覚的表象構造の推定

身体の見え方や、他者の行為の解釈に着目し、それらの情報がどのようなまとまりとして捉えられるのかを調べています。

キーワード
身体認知、表象構造、fMRI、自閉スペクトラム症、感覚特性、inverse-MDS

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研究概要

自閉スペクトラム症における身体部位の視覚的表象

顔や手足といった身体部位を知覚することは、コミュニケーションを行う上で重要なことです。私たちは、身体部位の情報が脳内でどのように整理されているのかに着目し、成人の自閉スペクトラム症(ASD)者と定型発達(TD)者を比較しました(Kurihara et al., 2025, Imaging Neuroscience)。

手や足、胴体、顔の各部位の画像を見ているときの脳活動をfMRIで計測し、身体の視覚処理に関わる外側後頭側頭皮質(LOTC)を調べました。表象類似度分析(RSA)を用いて、どの身体部位が似た脳活動パターンで表されるのかを比較しました(図1)。

身体部位の画像を見るシンプルな男性、MRI装置内で仰向けに横たわる参加者、右外側後頭側頭皮質(LOTC)の位置を示す脳の模式図。画像提示中の脳活動をfMRIで計測し、表象類似度分析を行うことを説明している。
図1 身体部位の視覚的表象を調べるMRI装置内で身体部位の画像を見ている間の脳活動を計測しました。画像の提示とMRI計測は分けて模式的に示しています。位置図では、図2で結果を示す右LOTCを強調しています。Kurihara et al. (2025) およびプレスリリースの図をもとに作成

その結果、両群ともに、身体部位は「手足」「胴体」「顔」の3つのまとまりとして表され、左右のLOTCで類似した表象構造が見られました(図2)。今回調べた成人では、ASD者の身体部位に関する基本的な視覚的表象構造が、TD者と類似することを示しています。コミュニケーションの特徴を理解するうえで、見えた情報をどのように解釈し、他者との関わりに用いるのかを検討する手がかりになると考えています。

論文Figure 4B・CのRight LOTCに対応するTD群とASD群の非類似度行列およびMDS図。MDSの点の相対配置は原図から保っている。 凡例と同色の淡い楕円で、手足・胴体・顔のまとまりを示している。
図2 ASD群とTD群で類似した身体部位の表象構造右LOTCの非類似度行列(上三角のみ)と身体部位の表象配置(MDS)を示しています。淡い楕円は、手足・胴体・顔のまとまりを示しています。MDSの点の相対配置は原図から読み取って再描画しています。Kurihara et al. (2025), Figure 4B・C(Right LOTC)をもとに作成